急速冷凍機導入で事業効率UP! 補助金制度を徹底解説

フードロスの軽減や加工時間の短縮などに役立つ急速冷凍機。事業効率を向上させる観点からも便利な製品ですが、導入にかかるコストがネックとなっている事業者も多いのではないでしょうか。 そこでぜひ活用したいのが、「ものづくり補助金」と呼ばれる補助金制度です。本記事では、急速冷凍機の導入のメリットや導入に活用できる補助金制度、採択されるポイントについて解説します。
目次
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、中小企業が生産性向上のためにサービス・試作品の開発や生産プロセスの見直しに取り組むことを支援する補助金制度です。
正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」ですが、一般的には「ものづくり補助金」と呼ばれています。
ものづくり補助金の概要
ものづくり補助金の採択を受けるためには、下記3つの要件を満たす3~5年の事業計画書の策定・実行をする必要があります。
② 給与支給総額:年平均成長率+2.0%以上増加 or 1人あたり給与支給総額の平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の平均成長率以上増加
③ 事業場内最低賃金:地域別最低賃金+30円以上
加えて、従業員が21人以上の場合は、次世代育成支援対策推進法に規定する「一般事業主行動計画」の策定・公表も必要となります。
また、補助金の対象となる経費は下記の通りです。
・機械装置、システム構築費
・技術導入費
・専門家経費・運搬費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
・外注費
・知的財産権等関連経費<グローバル枠のみ>
・海外旅費
・通訳・翻訳費
・広告宣伝、販売促進費
急速冷凍機の導入は、このうち「機械装置」の経費に該当します。ものづくり補助金では、運搬にかかる費用も補助対象となるのが嬉しいポイントです。
ものづくり補助金の補助金額・補助率
ものづくり補助金では、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つの枠が設けられており、それぞれ補助上限額や補助率が異なります。
枠 | 補助上限額 | 補助率 |
製品・サービス高付加価値化枠 | 750~2,500万円 | 1/2もしくは2/3 |
グローバル枠 | 3,000万円 | 1/2もしくは2/3 |
補助上限額は従業員数によって異なり、従業員数が多い事業者ほど多くの補助金を受けられる仕組みです。また、大幅賃上げを行う場合は、補助上限額が拡大される優遇もあります。
急速冷凍機の導入メリット

急速冷凍機の導入には、下記のようなメリットがあります。
・人材不足を補える
・食材の味を落とさずに提供ができる
・長期保存ができる
・加工時間を短縮できる
・計画的に生産できる
・アニサキス対策に有効
それぞれくわしく確認していきましょう。
メリット①フードロスを軽減できる
急速冷凍機には、フードロスを軽減するメリットがあります。
急速冷凍機は食品を良い状態のまま保存できるため、傷んで廃棄する食品の量を減少することができます。
特に、果物や魚類など傷みやすい食材を取り扱う事業者にとって、フードロスを軽減することができるのは大きなメリットです。
メリット②人材不足を補える
急速冷凍機は食品の品質を落とすことなく、そのまま保存することができます。そのため、「事前にまとめて仕込んだ料理を冷凍し、提供のタイミングで解凍する」といった対応を取ることも可能です。
繁忙期に備えて、余裕のある時間帯にまとめて仕込んでおくことができるので、従業員の働き方改革にもつながるといえます。
メリット③食材の味を落とさずに提供ができる
急速冷凍機は、できたての料理をそのまま保存できることも特徴です。
従来の冷凍機では、食品の粗熱を取ってから冷凍する必要があったため、どうしても味が劣化してしまう欠点がありました。その点、急速冷凍機では揚げたての料理もそのまま保存できるので、食材の味を落とさずに提供することができます。
メリット④長期保存ができる
急速冷凍機は通常の冷凍機よりも早く冷凍でき、長期保存に向いている特徴もあります。
これまでは、「食品が傷みやすい」、「冷凍すると旨味成分が逃げてしまう」といった理由から、長期保存できる食品が限られていました。
その点、急速冷凍機では品質を保ちながら長期保存することが可能となっています。防腐剤などの添加物を入れずに長期保存できるのは、事業者だけでなく消費者にとっても大きなメリットです。
メリット⑤加工時間を短縮できる
急速冷凍機は、加工にかかっていた時間を短縮できることも大きなメリットの一つ。
たとえば、冷凍食品の生産では、長時間かけて商品を冷凍させるケースも少なくありません。その点、急速冷凍機は粗熱を取る時間がかからず、短時間で食品を冷凍できるので、生産工程にかかる時間を短縮することができます。
メリット⑥計画的に生産できる
季節性のある食材を取り扱う事業者では、年間を通して安定的に商品を生産できるメリットがあります。
季節性のある食材では、どうしても生産時期に偏りが出てしまいます。そのため、月々の売上高にバラつきがある事業者も珍しくありません。
しかし、急速冷凍機を使えば、品質を保ったまま食品を保存できるので、年間を通して安定的に商品を供給することも可能となります。
メリット⑦アニサキス対策に有効
急速冷凍機はアニサキス対策に有効であることも知られています。
アニサキスは主に魚介類に多く寄生する寄生虫で、ときに食中毒を引き起こす要因にもなります。刺し身や寿司など魚の生食文化が根付く日本では度々アニサキスによる食中毒が起こっており、水産品を取り扱う業者では適切な対策に取り組むことが欠かせません。
アニサキスは一定期間冷凍させることで死滅しますが、その際に問題となるのが冷凍による品質の低下です。魚介類は時間をかけて凍らせることで旨味成分が流れ出てしまうため、冷凍することに抵抗を感じる業者も多いかもしれません。
しかし、急速冷凍機では通常よりも早いスピードで冷凍するため、品質を維持しながらアニサキス対策を行うことができます。食中毒は一度引き起こすと信頼の回復に時間がかかるため、顧客へ安全を提供する方法のひとつとして急速冷凍機を導入することは有効といえます。
ものづくり補助金の採択ポイント

ポイント①審査項目を意識する
ものづくり補助金は、「交付申請を行えば必ず補助金が受けられる」というわけではありません。採択されるためには、いくつかのポイントを意識して申請手続きを行う必要があります。それぞれ解説していきます。
ポイント①審査項目を意識する
ものづくり補助金に限らず、補助金制度では採択の可否を決めるための審査が実施されます。ものづくり補助金では、公募要領において下記の6点が審査項目として挙げられています。
・経営力・・・実現したい経営目標が具体化されているか
・事業性・・・目標値の実現可能性が高い事業計画となっているか
・実現可能性・・・遂行方法や課題の解決方法は妥当か
・政策面・・・地域の経済成長を牽引する事業になることが期待できるか
・大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性・・・賃上げの取り組み内容や算出根拠が妥当か
また、グローバル枠では事業性の審査において海外展開の計画性や体制についても評価を受けます。具体的なマーケティング戦略についてもチェックを受けるため、これらの点も事業計画所に盛り込んでおくことが重要です。
ポイント②将来の展望を明確にする
ものづくり補助金の審査では最大6つの項目で加点される仕組みがあり、その中のひとつに「経営革新計画」が含まれています。
経営革新計画では、「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した事業者」に対して加点が行われます。経営革新計画とは、中小企業が新しい事業に取り組み、経営の向上を図ることを策定する中期の経営計画です。
経営革新計画は国や自治体に承認してもらう必要があるため、ハードルが高い加点項目ではあるものの、採択の可能性を上げるために策定を検討してみるのがおすすめです。
ポイント③加点項目を満たす
ものづくり補助金では、経営革新計画による加点以外にも下記のような加点項目があります。
・再生事業者
・賃上げ
・DX認定
各加点項目の中にさらに細かな加点項目が含まれており、中には取り組みやすいものもあります。たとえば、「成長加速マッチングサービス」では、中小企業庁が提供する「成長加速マッチングサービス」に登録を行い、課題を登録している事業者に対して加点が行われます。
サービスは無料で利用できますので、金融機関や投資機関などの支援者を必要としている事業者は登録を検討してみるとよいかもしれません。
急速冷凍機の導入は補助金を検討してみよう!
フードロスの軽減や生産性の向上に役立つ急速冷凍機の導入には、ものづくり補助金の制度が活用となります。
最大3,000万円の補助金が受けられる制度ですので、急速冷凍機の導入を検討する際は交付申請を検討してみてください。