冷凍食品のドリップについて
冷凍した肉や魚を解凍すると、赤い血のような液体が出た経験はないでしょうか?
この赤い液体の正体は、血液ではなく、「ドリップ」と呼ばれる食品中のうまみ成分が含まれている栄養素になります。今回は、その「ドリップ」に関する内容をお伝えしたいと思います。
・ドリップとは?
食材を冷凍すると、食材中の細胞の水分が凍り始め、氷の結晶が生成されます。時間をかけた冷凍(緩慢冷凍)をすると、この氷の結晶がどんどん大きな氷の結晶へと成長してしまい、食材の細胞膜を破壊していきます。ここから、食材の内容物が外へでていってしまうのですが、このとき流れ出る液体が「ドリップ」と呼ばれています。ドリップには水分と共にたんぱく質やアミノ酸等うまみ成分が詰まっています。ですからドリップが食材から流れ出ると、アクが出たり、パサパサした食感になったりと食品本来の味を損なってしまいます。結果、冷凍品は美味しくないというレッテルを貼られてしまう訳です。
ドリップを抑える解凍方法は!?
出てきて良いことのないドリップですが、解凍方法で緩慢冷凍したり家庭用の冷凍庫で長く保管した商品というのは、細胞破壊を起こしています。ですから、解凍方法に気をつけないと、ドリップを抑えるのはむずかしいです。緩慢冷凍商品を、なるべくドリップを出さずに解凍したい場合は、冷蔵庫である程度時間をかけてゆっくりと解凍してください。急いで解凍してしまうと、どうしてもドリップが多くなります。ゆっくりと、といっても何日間もかけるのではなく長くても一晩ほどで解凍しましょう。そして、解凍したら早めに使い切りましょう。一度冷凍した商品というのは、チルド保存だけの商品よりも悪くなっていくスピードが速くなります。
・ドリップを抑えるためには!?
これから冷凍する品物のドリップを出したくない場合一番良いのは、食材を、急速冷凍することです!短時間で、水が氷になる温度である氷結晶生成温度帯を通過することで、小さな氷の結晶を生成することが出来ます。そうすると、食材中の細胞を壊すことなく冷凍出来るので解凍時の「ドリップ」を抑えることが可能です。冷凍保管する際、鮮度を担保するためにはいかに急速に冷凍し、食材中の細胞を壊さないかが重要になります!
上の写真は、緩慢冷凍と液体急速凍結「凍眠」との比較試験です。左の商品は、通常の冷凍庫で凍結し、右の商品はアルコール凍結の「凍眠」で凍結したものです。凍結方法により、同じ食材を冷凍したとしても写真の用に状態がまったく変わってくるのです。例えば、食肉を緩慢冷凍した場合、重量の約4%がドリップとして流れ出るわれています。しかし、しっかりとした急速冷凍をすることで、そのドリップを1%以下に抑えることも可能です。これは、ほぼ成分や内容を損なっていない状態ですのでプロの方が食べても、冷凍した食材なのか見分けることは非常に困難です。冷凍の方式により、ドリップがでる、でない等、食材のクオリティは大きく変わってくるのです。