急速冷凍で水産物の鮮度を保持!導入メリットと具体的な事例紹介

鮮魚の品質保持は、水産業者や漁協関係者、飲食店経営者にとって長年の課題です。水揚げ直後の鮮度 を、いつでも・どこでも消費者へ届けるにはどうすればいいのでしょうか。この課題を根本から解決するのが、魚介類を短時間で凍結し、細胞の損傷を最小限に抑える急速冷凍技術です。 本記事では、急速冷凍技術がもたらす鮮度と安全性の向上、物流の効率化、コスト削減といった具体的なメリットを解説します。具体的な導入事例や、品質を損なわない解凍方法、冷凍機の選び方を知りたい方も、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 急速冷凍水産物の魅力
  2. 急速冷凍技術の具体的な導入事例
  3. 急速冷凍の解凍方法のポイント
  4. 急速冷凍機の選び方
  5. 急速冷凍技術の水産業界へのメリットはたくさん

急速冷凍水産物の魅力

急速冷凍技術には、水産物の鮮度が長期間保持され、消費者が季節を問わず新鮮な魚介類を楽しめる秘密が隠されています。


以下では、物流の効率化とコスト削減にもつながる急速冷凍の魅力を詳しく解説します。


 


鮮度維持の仕組み

急速冷凍技術は、収穫後すぐに水産物を冷凍することで鮮度を保持します。具体的には、冷凍機が急速に温度を下げることで食品内部の水分が細かく結晶化され、細胞の損傷を最小限に抑えるのです。

これにより、食材は凍結される間に変質することがなく、解凍後も元の鮮度や風味、質感を保てます。


寄生虫低減の効果

急速冷凍は、水産物の安全性を大幅に向上させる技術です。具体的には、急速に温度を下げることで寄生虫の活動を停止させ、死滅させる効果があります。このプロセスにより、水産物を安心して消費できる環境が整い、食中毒のリスクが軽減することも見逃せません。


物流効率化とコスト削減

急速冷凍技術は水産物の物流を効率化し、コスト削減にも貢献します。


鮮度の高い状態での長距離輸送が可能となるため、遠隔地への配送が容易になります。これにより旬の時期に大量に獲れた魚介類を冷凍ストックとして抱え、時期をずらして市場に供給することも可能となるのです。


また、鮮度の高い状態を長く保てるため、賞味期限切れや品質劣化による廃棄量が減少し、総コストを削減できます。さらに、計画的な生産・在庫管理が可能となるため、急な需要変動にも対応しやすくなり、運用コストの低減を図れるのも魅力です。


急速冷凍が可能な魚はこちらからチェック


急速冷凍技術の具体的な導入事例

急速冷凍技術は、多くの水産関連企業で導入されています。ここでは、テクニカンの導入事例を通じて、急速冷凍技術がもたらす具体的なメリットや実際の効果を詳しく見ていきましょう。


導入事例①伸東養魚様


静岡県湖西市でヒラメの養殖業を営む伸東養魚様では、凍眠導入により繁忙期の需要に対応できるようになりました。徳増様によれば「ヒラメは12月が一番売れる季節。手作業では数量をこなせず、注文をお断りすることが多かった」とのこと。凍眠の最大の利点は「冷凍前の一番おいしいところで止められる」ことです。熟成魚も最適なタイミングで冷凍保管することで、旬の美味しさを年中供給できるようになりました。


養殖業では毎日餌を与える必要がありますが、出荷サイズになったヒラメを凍眠冷凍することで餌代も削減でき、経営面でも大きなメリットが。


遠鉄百貨店のセールスマネージャーは試食の際「冷凍したお魚、お刺身のこれまでのイメージがひっくり返った。実がプリプリで本当に冷凍したのかと思うほど」と評価し、現在お中元やお歳暮などのギフト需要でも取り扱われています。


伸東養魚様の詳しい導入事例はこちらか


導入事例②越田商店様


富山県氷見市の越田商店様は、凍眠の技術を活用した革新的な「二次凍結」による販売方法を実践しています。専務の越田さんは初めて凍眠で冷凍した食材を食べた時の感想を「目をつぶって食べたら、獲れたてとの区別ができない」と表現しています。


同社では一般顧客向けに一度解凍後、パッキングなどの加工をして再度凍眠で凍結させて販売しており、獲れたてから約1年後に解凍・再凍眠することもあります。それでも獲れたての弾ける食感は失われず、最初の凍眠から2年・3年経過した食材も美味しさは全く衰えないそう。


また、従来は捨てていた白えびの殻を出汁のもとやパスタのトッピングとして販売したり、ぶりの切り落とし部分を漬け丼の具材として商品化したり、フードロス削減にも大きく貢献しています。


堀田商店様の詳しい導入事例はこちらから


導入事例③菊平様


横浜市中央卸売市場でマグロの仲卸業を営む菊平様では、凍眠導入により具体的な経営成果が現れています。スタッフからは「売れ残ったものを無理に売る必要がない」との評価があり、食品ロス削減も実現。荒井社長は「凍眠を導入してから利益率が2%向上した」と語ります。


鮮度のコントロールができるようになったことで、無理に売る必要がなくなり、商品価値を最大限活かした販売戦略が可能になりました。マグロは年末にかけて単価が高騰するため、比較的安価な時期にまとめて買っておき、単価が上がったタイミングで販売することも。


顧客の中にはその差益で機械代を回収できると評価する方もいるほど、経営的メリットは大きく、繁忙期の分散やアニサキス対策にもなるという副次的効果も得られています。


【仲卸】マグロの急速冷凍|横浜市中央卸売市場での導入事例はこちら


急速冷凍の解凍方法のポイント

急速冷凍で保存された水産物を効果的に使用するためには、適切な解凍方法を選択しなければなりません。特に解凍時には鮮度を損なわない工夫が必要です。急速解凍機を利用する方法もありますが、いずれにせよ解凍プロセスを慎重に管理することが欠かせません。


 


最適な解凍方法

海産物の解凍方法には、以下の方法があります。



  • 冷蔵庫での自然解凍

  • 流水解凍

  • 電子レンジ

  • 急速解凍機


最も一般的なのは、冷蔵庫での自然解凍です。これにより食材の温度が徐々に上がり、品質を保ちながら解凍できます。もう一つの方法は流水解凍で、冷たい流水を使って食材を解凍します。また、電子レンジを使った解凍も可能ですが、この方法は食材が急速に温まり、部分的に調理が進んでしまうリスクがあるため解凍具合をこまめに見ながら進めましょう。解凍ムラを防ぐためには、最新の急速解凍機を用いるのも賢い選択です。


注意点とコツ

急速冷凍された水産物の品質を保つには、凍結時と同じく、解凍時も温度変化を緩やかにすることを意識してみてください。


まず重要なのが、できるだけ短時間で解凍すること。冷たい流水を使う場合は頻繁に水を交換し、食材との温度差を保つようにしましょう。


また、電子レンジを使う場合は、低出力で短時間ずつ調整しながら解凍するこのが理想的です。


さらに、解凍後はすぐに調理することで、食材の鮮度を最大限に保てます。これらのポイントを押さえることで、おいしく安全に水産物を楽しめるでしょう。


急速冷凍機の選び方

急速冷凍技術のメリットを最大限に受け取るためには、自社のニーズに合った冷凍機を選び、適切に運用することが重要です。選び方においては、性能・機能とコストとの兼ね合い、運用においてはメンテナンスのしやすさもカギを握ってきます。


 


性能比較と導入費用

急速冷凍機の性能を比較する際は、最低温度、冷凍速度、エネルギー効率が主な指標となります。


導入費用は数十万円から数百万円まで幅がありますが、初期投資だけでなく、ランニングコストやメンテナンス費用も考慮に入れておきましょう。


導入後の運用とメンテナンス

効率的な冷凍性能を維持するためには、冷凍機内部を定期的に清掃が肝心となります。


また、冷却装置やコンプレッサーなど、主要な部品の定期点検も大切です。


適切なメンテナンス体制を構築することで、機器の寿命を延ばし、トラブルを未然に防げます。これにより、安定した運用と品質保持が実現できるのです。


適している急速冷凍機か知っておく

自社に合った急速冷凍機か調べておくのも一つの手です。急速冷凍機とひと口に言っても、すべての食材に適しているわけではありません。業種によっては、食材の量が非常に多いなどの理由で、当たりをつけている冷凍機で対応できない可能性もあります。


テクニカンでは、対応している食材・業種を調べるページを設けています。もしない場合も、状況次第で対応可能なケースもあるため、一度お問い合わせをお待ちしております。


急速冷凍技術の水産業界へのメリットはたくさん

急速冷凍技術は、水産業界において鮮度を長く保ち、旬を過ぎてもおいしさを保ったまま消費者に届けられる便利な仕組みです。寄生虫のリスクを減らすことで食の安全性を高め、安定した供給を可能にするだけでなく、物流の効率化でコスト削減にもつながります。貴社のブランド価値向上と効率化のため、急速冷凍【凍眠】の導入を検討してみてはいかがでしょうか。


その他の導入事例はこちらからご確認ください!


株式会社テクニカン

〒224-0037
神奈川県横浜市都筑区茅ヶ崎南3-1-16

Copyright(C) 2005-2025 Technican Co.,Ltd. All Rights Reserved.
電話 お問い合わせ 資料 資料ダウンロード