凍眠専用の施設「萬珍 凍眠館」を構え、全社一丸となって凍眠事業に取り組む
横浜中華街 萬珍樓 様
創業明治25年。広東料理の老舗として130余年にわたって伝統の味を守ってきた横浜中華街を代表する中華料理のお店。
【活用方法】
オンラインショップ販売用の冷凍グルメ、仕込みの効率化、労働時間短縮、フードロスの削減
POINT!
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萬珍
凍眠館レストランとは別に凍眠を用いた冷凍グルメ製造のための施設を構える。売上拡大につき、凍眠スペース拡大の計画を進行中。
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導入場所
・萬珍 凍眠館
・レストランの厨房 -
販売商品
ふかひれスープ、海老のチリソース、麻婆豆腐、五目焼きそば、海鮮あんかけ炒飯、中華丼、蒸し餃子、杏仁豆腐など
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今後の目標
現時点で出来ないと思っている食材でも、凍眠なら可能性がある。改良を重ねて販売できるようにしていきたい
目次
レストラン事業からの販路拡大。凍眠技術の可能性
創業明治25年の株式会社萬珍樓の林社長は、冷凍食品だからといって決して妥協を許しません。味はもちろん、海鮮・肉の食感や野菜の色味まで、ご家庭での再現性が基準に達しない場合は販売へのGOが出ませんでした。
凍眠導入前は、通常の冷気冷凍で商品開発を進めていましたが、調理スタッフ一同で取り掛かるもなかなか上手く行かず…。凍眠を導入する前は途方に暮れていたそうです。
ちょうどその頃、飲食業界に大打撃を与えていたコロナウィルスの影響は、萬珍樓さんも例外ではありませんでした。レストランの客足が遠のいてしまい不安定な営業が続く中で、一気に加速した萬珍樓さんの冷凍グルメの開発。外出ができない環境でも再現性の高いお店の味をご家庭で楽しんでいただけるようになり、オンラインショップの売上もどんどん伸びています。
初めは調理場の隅で凍眠用の作業をしていましたが、徐々に規模を拡大し、今では凍眠専用の別館「萬珍 凍眠館」を構えています。1階では凍眠された冷凍食品を販売する店舗、2階は店舗用・オンラインショップ用の冷凍グルメを生産する専用のスペースとなります。
仕込み時間の効率化と、アイドルタイムの有効活用
萬珍樓さんでは、凍眠館に導入いただいている凍眠に加え、レストランにも導入いただいています。品質を落とさない凍眠の技術を、レストランで提供する料理の仕込みにも活用。
食材に包丁を入れて味付け後、脱気して凍眠で凍結、冷凍庫で保管して必要な時に必要な分だけ解凍して業務の効率化をしています。また、保管期間が長くなってきたものは社員食堂の料理に使用するなど、フードロス削減にも繋がっています。
オンラインショップ用の冷凍食品も、レストラン業務のアイドルタイムに作業。本来ならば仕事が減る時間帯を活用して生産効率をアップしながらも、従業員の労働時間の短縮化を実現されています。
常連のお客様も認める、味の再現性
厨房長の日高さんは「凍眠した食材を初めて食べた時は本当に驚いた。今まで試作してきたデータが良い意味で全て裏切られました。そこからは凍眠の技術をベースにした商品開発が始まったんです。」と振り返ります。
萬珍樓さんが販売しているオンラインショップ用の冷凍グルメは、ご家庭でのレンジアップが最後の火入れになりますが、ご家庭によって電子レンジの種類はさまざま…。どのパターンの電子レンジでもお店の味を再現できるように、厨房にも複数種類の電子レンジを用意して商品開発を進めています。
また凍結する段階では、ご家庭でのレンジアップを計算してベストな厨房での火入れを研究。林社長含め、萬珍樓スタッフも納得して販売している商品は、レストランの常連のお客様からも「お店で食べるのと同じ味だね。他の冷凍食品とは違う。」とお褒めの言葉をいただくそうです。
「コロナウィルス流行前、萬珍樓點心舗の支配人をしていた時から、冷凍点心のオンライン販売をしてみたいなとぼんやり思っていたんです。凍眠の技術がそれを実現してくれました。」と語るのは、萬珍樓 支配人の千葉さん。
直にお客様の声を聞いた時は、ご自宅でも安心しておいしく召し上がっていただけていることに、嬉しい気持ちになったとお話いただきました。
今後さらに拡がる、萬珍樓の凍眠事業
「現状では、生地感を保ちたい点心のような商品は再現性を上げられず、販売に至っておりません。でもまだプロジェクトも始まったばかりで、出来ないと思っていたことが出来るようになることが多いんです。」と調理長の日高さんは語ります。
贈り物でお召し上がりになった方や、リピーターのお客様からの反響・お問い合わせも多く、なかなか生産が追いついていないのが現状です。
今年はさらに凍眠用を作業・冷凍庫スペースを拡大していくとのこと。今販売しているもの以外の商品にも常にチャレンジしているそうですので、今後も萬珍樓さんの凍眠を使用した冷凍グルメ事業の拡大が楽しみです。